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百萬遍念佛数珠繰

本堂に掛けられた新しい大念珠

数 珠 繰 の 設 え

本堂には新しい大念珠が掛けられています。当寺には享保2年(1717)に七世澤誉上人が径一尺一寸の双盤を寄付し、延享3年(1746)に鉄屋カネが同じく双盤を寄付してより、双盤を打ち数珠繰りをする行事が伝わっていましたが第二次大戦中、双盤四丁を戦時供出してより途絶え、大念珠のみ伝わっています。今では当時どのような節で念仏を称え、どのように双盤を打っていたか知る由もありません。

近年、「百萬遍念佛数珠繰り」として復活し、災難を除き幸せになるように、双盤を打って皆で大念珠を繰りながら御念仏を称える行事が秋の十夜法要で行われています。

「百萬遍念佛」とは、元弘元年(一三三一)に京都で疫病が大流行した折、浄土宗大本山知恩寺(京都市左京区田中門前町)第八世の善阿空圓上人が後醍醐天皇の命を受け、御所において昼夜を問わず七日間連続の念佛三昧を勤め、その数が百万遍にいたったところで街中の疫病が不思議と治まり、このことを深く感謝した天皇が、知恩寺に「百萬遍」の寺号を付与し、併せて禁中の重宝たる弘法大師筆の「利剣名号」と、大念珠を下賜したと伝えられ、これ以後、知恩寺では大念珠を廻しながら独特の節でお念仏を称える百萬遍大念佛が恒例となり、今なお続けられています。

「利剣の名号」とは「南無阿弥陀佛」の文字の先が剣の切先の如く書かれているもので、経文に「利剱即是弥陀號 一聲称念罪皆除」とあるように、まことに正しい念仏の威神力は、あたかもよく切れる剣のように、人間の災厄を切り捨てて、私共を幸せに導いて下さいます。利剣の名号を掛けることによって、その尊い功徳をいただくのです。百萬遍大念佛を称える時はこの利剣の名号を掛けます。

江戸時代に使っていた大念珠

利剣名号

双 盤

この百萬遍念佛は一人で念仏を百万遍称える方法と大勢で称え合わせて百万遍とする二つの方法があります。そして大勢で称えるときに行なうのが「大念珠繰り」です。大念珠を皆で繰ることによって心を一つにするのです。

念珠は数珠ともいい、お念仏の数を数える道具でもあります。百萬遍念佛に用いる念珠は大きなものでは一〇八〇顆で出来ています。これを、百人で十回廻せば百万遍になります。因みに勝念寺の大念珠は一寸(3センチ)の主玉が一〇八の四倍 四三二顆で出来ています。 

「双盤(そうばん)」とは普通の鉦(かね)より大型で、音の高さが違う鉦を木枠につるし、同時に打つもので、明応四年(一四九六)浄土宗大本山鎌倉光明寺祐崇上人が真如堂の大衆と共に宮中で引声念仏を修し、勅許を得て光明寺に移修したものが双盤念仏のはじめとされています。以後浄土宗寺院で行われます。

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